建物が建って20年、30年と経過していくと、経年劣化により扉が歪んでくるものらしい。扉を閉めようとしたら、枠に扉が当たってしまい自然に扉が閉まらなくなってしまう。扉を開けようとすると、枠と扉が擦ってしまい、スッと開かなくなってしまう。などの事象が生じてしまう。
初めに経験した時は、そんなことがあるのか。すぐに交換しなければならないのではないのか。そんな出費は見込んで無いよ。と焦ったのだが、何度か経験すると、経年劣化で通常に起きる現象なのだな。と受け入れられる様になった。
そして扉や、扉の枠が経年劣化で歪んできた時は、いきなり扉交換となるのではなく、「蝶番起こし」という工具で、アナログで無骨に無理矢理直すものの様だ。ザクっと言うと、蝶番をひん曲げる工具を使って、蝶番を無理矢理ひん曲げ、枠内に扉をはめ込む。誰でも出来る単純作業と言えば、単純作業なのだが、これがまた職人技だと思う。
※蝶番起こし
扉と枠は、建築当初は3mmくらいのゆとりが全方面に空いている状態で施工するらしい。
それが、経年劣化で数十年経過すると、扉や扉の枠が歪み、形が崩れる事により、枠と扉が当たる様になってしまう。
経年劣化の歪みの例としては、下図の様にものがある。
(判りやすい例を表示しているだけで、扉が反り返ったり、枠の歪みと扉の反りが両方影響している場合もあるらしい。)
こういう当たり方をした場合に、蝶番起こしを使い、テコの原理で蝶番を動かして、枠内に扉をどうにか嵌め込む。
上図の例で言うと、左上と右下は扉が当たってしまっているが、右上と左下にはゆとりがある。その為、上の蝶番を引き寄せて上部の左に余裕を持たせ右を詰める。逆に下の蝶番はスペースを開けて右に余裕を持たせ左を詰める。
その際に、蝶番の上と下で、強弱を付けながら片方は強く左に、片方は小さく右にという様な形で蝶番を動かしていく。
この匙加減が判らないので困る。内容としては、蝶番をテコの原理を使って曲げるだけなので、自分でも出来る事だと思うのだが、スペースを開ける為の方向にだけ対応していてもスムーズに空かないので、私が思う方向と逆方向に捻る時もある。
管理会社が蝶番起こしを持っているので、とりあえずは、一旦管理会社で対応をしてみたりもするのだが、右左の匙加減など、ちょうどいい具合が判らず、匙を投げたら、サッシなどの専門業者に依頼してみると直ったりする。職人技で延命措置が可能です。割と人工で良い値段を取られるが、交換するよりは安価に済むと思うので、扉の経年劣化による歪みがあった際は、すぐに諦めて交換するのではなく、まずは蝶番起こしで対応してみましょう。
蝶番起こしでも調整しきれない場合は、叩いて削って無理矢理枠に収めてくれます。
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